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8月28日は“気象予報士の日”!
東北放送・気象予報士 今野桂吾さんインタビュー

地元・宮城で天気予報を届けるうれしさ
生活に寄り添える気象予報士でありたい

私たちの生活から切っても切れないお天気のあれこれ。明日は晴れだからあれをしよう、雨だからこうしよう…など、1日の行動や予定を決める上でとても重要な要素ですよね。そんな未来のお天気を天気予報として私たちに分かりやすく伝えてくれる存在が“気象予報士”。実は8月28日は、第1回の気象予報士国家試験が行われた日であることから“気象予報士の日”になっているのだそう。そこで本日は、東北放送の気象予報士・今野桂吾さんの特別インタビューをお届け!なんと東北放送は、東北地方の放送局で初めて気象庁から許可を受けて独自に天気予報を発表できるようになった放送局!気象予報士としてのお仕事や天気予報の注目ポイントなどを教えてもらいました!

    

まずは天気予報をつくるところから!
独自に予報ができるやりがいと難しさ

ーー現在、テレビ「ウォッチン!みやぎ」やラジオ「Goodモーニング」「en∞Voyage」をご担当されていますね。普段のお仕事ではどんなことをされているのでしょうか。

まず“天気予報をつくる”ことから始めています。東北放送は、気象庁から予報業務の許可を受けて独自に天気予報ができる珍しい放送局なんですよ。予報図を見ながら、コンピュータの計算結果や宮城の地形、それから経験則など、いろいろな要素を総合的に組み合わせて考えています。

ーーなんだかとても難しそうですね…。

難しい日とそうでもない日がありますね。天気の崩れがない日は前日に想像がつくので、ある程度事前に練っておきます。翌日出勤した時に大きな違いがなければそのままスムーズにできますが、例えば低気圧の位置がずれていたりすると「雨雲が県内にかかりそう」など考え直す必要がありますし、災害に結びついてしまわないか神経質になってしまうことも。特に難しいのは雪が降るとき!上空の気温1度の差で雨になったり雪になったりするので難しいです。

ーーそうなんですね。やはりエリアによっても差はあるのでしょうか?

地形や海からの近さで天気は変わります。宮城は海も山も平地もあるので、エリアによって全然違うんですよ。夏場に海から吹く風は地上の気温より低いことが多いので、沿岸部の場合はあまり気温があがらない、むしろ下がることも。一方で山の場合は海から遠いので風が来にくく、気温が徐々に上がったりする。気温が上がると今度は夕立のリスクが高まるので、山間部では雨の可能性も考えなくちゃいけない…といった差はありますね。特に宮城で一番難しいのは雪が降るのか雨が降るのかということ。海って温めにくくて冷めにくい特徴があるので、冬になると海から吹く風が暖かい空気に変わるんです。だから、沿岸部だと暖かい空気が下にたまって、上空では雪だけど地上に来るときには雨になったり…どういう予報にするか頭を悩ませますね。

    

自分がつくった天気予報が
みなさんの生活に役立ってほしい

ーーやりがいのあるお仕事ですよね。

そうですね。地元の宮城で、しかも自分がつくった天気予報を伝えられるという喜びを感じながら取り組んでいます。視聴者さんから「天気当たったね」「予報を見て洗濯物を早めに取り込んで良かった」といったコメントをもらったときはとてもうれしいですし、みなさんの反応がやりがいにつながっているのを感じます。友達や同級生のおばあちゃんたちからも「観たよ」って言ってもらうことがあって、これからもしっかり天気を伝えなくちゃ!と思わせられます。

ーーどんな天気予報を心がけていますか?

ラジオの場合は画面を見せることができないので、イメージしやすいようにできるだけシンプルに、大事なことだけを伝えるように心がけています。
一方でテレビの「ウォッチン!みやぎ」では、画面を使って見せることができる利点を活かして、“人間アメダス”というものをやっています。視聴者さんが投稿してくれた画像や、「晴れていて暑い」といった実際の天気の体感を、宮城県の地図に張り出しているんですよ。そうすると、例えば県北では曇っているけど、県南では晴れているといったことも伝わりやすい。中でも特に意識しているのは、ただ天気を予報するだけではなく、そこから生活に役立つ情報を届けるということ。「夕方に雨が降るからいつまでに洗濯物を取り込むと良いでしょう」「晴れてるけど湿度が高いから洗濯物が乾きにくいでしょう」など、生活に密着した情報が大事だと思うんです。ですから視聴者さんにはそういったコメントにも注目していただけるとうれしいですね。

     

何か武器を身につけたいと思ったときに
一番興味があったのが“天気”でした

ーー気象予報士を志したきっかけは何だったのでしょう?

実はもともとは理科の先生になりたかったんです。でも、普通の先生ではつまらない。何か武器がほしいって考えたときにたどりついたのが“天気”でした。昔から奇麗な空や景色を眺めるのが好きだったんですよね。母親が雲が好きだったこともあり、幼い頃からよく雲の図鑑を見ていたのも、天気に興味を持ったきっかけのひとつかもしれません。1回はまると抜け出せなくなる性格ということもあり、「なんで雨が降るんだろう」「冬はどうして寒いの?」「虹ってなんであんな風に見えるの?」と考え始めたらおもしろくて。「とことん天気の勉強をしよう!」と思い、気象予報士の道を選びました。

ーー今野さんは出身も宮城ですが、どんな少年だったのでしょう。

かなりの悪ガキでした(笑)。いつも喧嘩ばかりして、先生によく怒られていましたね。なんであんなに気性が荒かったのか、今思うと不思議なくらい!でも、小学4年生で登米市から多賀城市に引っ越したことがきっかけで少し大人になったかな?たぶん新しい土地に対する緊張からだと思うんですけど、そこからちょっと大人しくなったかもしれないです。

ーー今の優しいお姿からは想像できないですね!最近ですと、何か趣味やはまっていることはありますか?

趣味がたくさんあるので休日のたびに違うことをしているかも。ギターが好きだから雨の日は家でギターを弾いたり作曲したりしています。大学の頃はバンドもやっていました。釣りやキャンプといったアウトドアも好きですね。特に釣りは今はまっていることのひとつです。最初は虫エサが触れなかったんですが、一度釣れたら楽しくなっちゃいました。

   

頼りになる身近な存在へ
好奇心を刺激する天気予報を目指して

ーーどんな気象予報士でありたいですか。

自社で天気予報をつくっている放送局って珍しいんですよ。だからこそ、視聴者から頼りにされる存在でありたいとは強く思っています。もっと身近な存在になりたいという想いもありますね。東北放送のホームページにリンクがありますが、「お天気相談所」というものをやっているんです。「暑くなりますか?」「どういう天気ですか?」など、もっと気軽にお問い合わせいただいて、気象予報士を身近に感じてもらえればうれしいです。

ーー相談所もやっているんですね!

実際に過去にあったのが、小学生と中学生の兄弟から「逆さまの虹を見ました。あれは何ですか?」というメール。理科の先生志望だったこともあり、そうやって子どもたちに天気のおもしろさや不思議を教えられるのはうれしかったですね。お母さんから感謝のメールまでいただいて、とても印象に残っています。こんな風に、もっと小さい子でも興味が持てたり、「へ~!」って思ってもらえるような天気予報をすることが今の目標です。

ーー最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします!

まだまだ未熟者ですが、これからもっとみなさんの生活に密着した分かりやすくておもしろい天気予報にしていくので、応援よろしくお願いします!

ーーありがとうございました!


【プロフィール】

東北放送 気象予報士 今野桂吾

■入社年  2019年10月
■出身地  宮城県登米市
■担当番組
テレビ「ウォッチン!みやぎ」(木・金)
ラジオ「Goodモーニング(TBCアサイチ天気)」(木・金)
ラジオ「en∞Voyage(ウェザー・コンパス)」(木・金)

「お天気相談所」はコチラ!

※掲載の記事は2020年08月28日時点の情報となり、掲載内容によっては終了している場合もございます。あらかじめご了承ください。