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刑務所や拘置所への差入を代行する「差入屋」、罪を犯した人たちとその家族に希望を届ける、感動のヒューマンサスペンス
『金子差入店』5月16日(金)全国公開

©2025「金子差入店」製作委員会

オーレ読者の皆様、こんにちは!
楽しかったGWもあっという間に終わり、また日常が戻ってきましたね。
行楽のお出かけや旅行でお疲れの方も多い今月は、ゆっくりと映画観賞を楽しむのはいかがでしょうか?
ということで今回も、映画好きスタッフがオススメしたい最新イチオシ作品をご紹介します!
来週5月16日(金)から公開される映画『金子差入店』は、刑務所や拘置所に収容された人への差入を代行する「差入屋」という仕事を通して、罪を犯した人とその家族の希望をつなぐヒューマンサスペンス。SUPER EIGHTの丸山隆平が主演を務めることでも話題です。
ということで今回も、作品の魅力や見どころを、ネタバレなしでご紹介していきます!




刑務所や拘置所に収容された人への差入を代行する「差入屋」
誰も観たことのない設定で、
人間の可笑しさと切なさ、ダークサイドから光までを追いかける ──
今この時代にこそ放つ魂を震わせる感動のヒューマンサスペンス


知っていますか? 「差入屋」という仕事があることを。
刑務所や拘置所に収容された人への差入には、厳しい審査や検閲があります。差入と聞いて、私たちが頭に思い浮かべる物のほとんどは、許可されないでしょう。そこで登場するのが、ルールを熟知した差入屋。また、様々な事情から面会に行くことができない人たちに代わって、面会室へ出向くこともあります。
そんな差入店を営む家族と、彼らが巻き込まれる不可解な事件を描く、ヒューマンサスペンスが誕生しました。

俳優・丸山隆平の新たなるスタート
輝く新鋭と名優たちの真剣勝負で飾る
新たな才能の監督デビュー作


差入店の店主を務める主人公の金子には、『泥棒役者』以来8年ぶりの映画の主役を演じる丸山隆平。近年では、ジョン・キャメロン・ミッチェル演出の伝説の舞台「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(22)や、三浦大輔作・演出の「ハザカイキ」(24)で主演を果たし高く評価された。人に言えない過去を抱え、息子のために生き直そうとする男を、これまでの丸山のイメージとは一線を画す迫真の演技で、リアルかつ情感豊かに体現した。

金子の妻の美和子には、2013年の日本アカデミー賞で、『そして父になる』で助演女優賞、『さよなら渓谷』で主演女優賞をW受賞した真木よう子。確かな演技力で、世の中の価値観に惑わされず自らの信念を静かに貫く美和子を、芯に強さのある柔らかさで表現した。二人の息子の和真には、NHK大河ドラマ「光る君へ」に藤原道長の長男役で出演するなど、今最も注目される子役の一人、三浦綺羅。3人と一緒に暮らす金子の伯父の星田には、日本のエンターテインメント界の重鎮、寺尾聰。要所要所で甥を助ける星田を飄々とした優しさで演じている。

さらに、和真の幼馴染の花梨を殺した小島に北村匠海、花梨の母親に村川絵梨、金子の知り合いの弁護士に甲本雅裕、小島の母親に根岸季衣、出所してまもなくまた罪を犯す横川に岸谷五朗、金子の母親に名取裕子と、主演級の錚々たる実力派俳優たちが集まった。また、本作がデビュー作となる期待の新人・川口真奈が横川に母親を殺される佐知に扮し、驚くべき演技で観る者を魅了する。

監督は古川豪。本作で長編映画初監督を務め、新たな才能でオリジナル脚本も自ら手掛けている。主題歌は古川監督が助監督を務めた『東京リベンジャーズ』シリーズで結んだ友情からオファーされたSUPER BEAVERの「まなざし」。この混迷の時代を懸命に生きる者たちへの熱い想いが込められた歌詞が心に響く。

罪を犯した人々や、その家族と対峙する金子。そこには不可解な事件があり、未解決の謎が渦巻き、胸を締め付けるドラマがある。誰も観たことのない設定で、人間の可笑しさと切なさ、ダークサイドから希望に満ちた光までを追いかける、感動の人間賛歌。

差し入れるのは、小さな希望
「差入屋」を生業とする金子真司は、消せない過去を抱え今日も懸命に生きる
あやまちの数だけ希望はあり、何度つまずいても立ち上がれると信じて──



坂の途中に、ひっそりと佇む「金子差入店」。店先には、刑務所や拘置所に収監された人への差入が許された品物が並んでいる。面会は平日の限られた時間にしかできないため、差入の代行を頼まれることもある。
店主を務めるのは金子真司(丸山隆平)、伯父の星田(寺尾聰)から引き継いだ店だ。
かつて傷害の罪を犯した金子は、帰りを待ってくれた妻の美和子(真木よう子)、服役中に生まれて10歳になる息子の和真(三浦綺羅)、そして引退した星田と店舗兼住居で暮らしている。
かつてのすぐにカッとなる激しい気性を改めた金子は、今では和真のために懸命に働く日々を送っている。

そんな金子が、久しぶりに声を荒げる出来事が起きる。金子の留守を狙って、母親の容子(名取裕子)が訪ねて来たのだ。
服役中の金子に1度も面会せず、赤ん坊を抱える美和子を助けることもなく、差入店が軌道に乗った途端、金だけせびりに来る母親を、金子は「来たら追い返せ」と美和子に言い含めていた。
ところが、美和子は容子を家にあげるだけでなく、小遣いまで渡していたのだ。

責める金子に「生きている間にしか会えないよ」と毅然と言い返す美和子に腹を立て、プイと家を出て行く金子は、気づけば母のアパートの前にいた。母が若い男に会いに行くのを見届けた金子は、帰宅して「母ちゃん、また男のケツ追いかけまわしてたよ。バカだよなあ」と嘆いて、美和子と仲直りするのだった。

その夜遅く、近所に住む詩織(村川絵梨)から美和子に電話が入る。彼女の娘で和真の幼馴染の花梨が帰って来ないというのだ。翌日になっても、花梨は見つからない。

金子が店番をしていると、パトカーと救急車のサイレンがけたたましく響く。音を追って河川敷に駆けつけると、詩織が泣き叫んでいた。花梨は何者かに殺害されたのだ。まもなく、犯人が逮捕される。小島高史(北村匠海)26歳、母親と二人暮らしの男で、花梨とは何の関係もなかった。

金子と美和子、そして和真も事件から立ち直れないでいる中、小島の母親のこず江(根岸季衣)が金子の店に現れ、差入の代行と手紙の代読を依頼していく。金子は美和子に「さすがにきつい」と弱音を吐くが、美和子から「感傷に流されても花梨ちゃんは戻ってこないよ」と諭される。

翌日、金子は差入屋としての仕事を淡々とこなそうとするが、想像を遥かに超える常軌を逸した小島の言動に愕然とする。さらに面会を終えると、携帯電話にこず江からの着信が何十件も入っていて、高圧的な態度で差入代行を続けてお願いしたいと迫られるのだった。

再び小島と面会した金子は、「なぜ、何のために殺したのか」という疑問と怒りに身を焼かれる。
そんな時、毎日のように拘置所を訪れる女子高生の二ノ宮佐知(川口真奈)と出会う。

知り合いの弁護士の久保木(甲本雅裕)から、出所してまもない横川哲(岸谷五朗)に母親を殺されたと聞いていたが、彼女はなぜかその横川との面会を強く求め、拒絶されていた。
2つの事件の謎と向き合ううちに、金子の心は大きく揺れ動き、大切な家族との絆が試されていく──。



ガラス1枚で隔たれる2つの世界 ───
登場人物それぞれの光と影、背負った過去や複雑な人間模様に
深く考えさせられる1本



一足先に鑑賞してきました!

まずは、出演者全員の演技がすごい…!
登場人物それぞれに様々な光と影、過去や複雑な人間模様があり、それが痛いほどに伝わってきて、深い余韻を残す作品というのが第一印象。

刑務所内の受刑者に、差入れを届けるお仕事「差入店」。
このような仕事があることをこの映画で初めて知りました。
そんな特殊な仕事に携わりながら、暗い過去を背負いつつ、家族を愛し、堅実に暮らしている主人公・金子(丸山隆平)は、世間を揺るがしたふたつの事件と関わることになります。
差入店という仕事をしている金子だからこそ、被害者・加害者、両者の立場を見つめることになるのですが、その人間模様が最大の見どころです。

金子が受刑者に対峙する面会室。ガラス1枚で隔たれている、2つの世界。

ガラスの『こちら側』にいる人にも、『向こう側』にいる人にも、それぞれの人生とドラマがあって、どんな人にも大事な人や想いがある。
金子を介して差し入れられるのは、単に物だけではなくて、言葉にできない愛や想い、小さな希望や救いだったりします。
劇的な大逆転があるとか、爽快な復讐劇があるとか、めちゃくちゃ号泣するとか、そういうわかりやすい映画ではありません。淡々と、そしてすぐそこで起こっている出来事のようにリアルに、人間のやるせなさ、理不尽さ、怖さ、哀しさ、そして優しさや愛しさといったものが描かれている作品でした。

また、個人的には金子の母(名取裕子)、殺人犯の母(根岸季衣)、被害者の母(村川絵梨)、そして金子家の絆を取り持つ気丈な母(真木よう子)など、様々な母親像が描かれているのもこの映画の印象的なポイントでした。

ぜひスクリーンで、画面に没頭して鑑賞していただきたい作品です。
5月16日(金)公開ですので、ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね。



『金子差入店』
■公開日:5月16日(金)
■出演:
 丸山隆平
 真木よう子/三浦綺羅 川口真奈
 北村匠海 村川絵梨 甲本雅裕 根岸季衣
 岸谷五朗 名取裕子
 寺尾聰
■監督・脚本:古川豪
■主題歌:SUPER BEAVER「まなざし」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
■製作:「金子差入店」製作委員会 
■製作幹事:REMOW 製作プロダクション:KADOKAWA
■配給:ショウゲート

映画公式 HP:https://kanekosashiireten.jp/



※掲載の記事は2025年05月09日時点の情報となり、掲載内容によっては終了している場合もございます。あらかじめご了承ください。