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〈オーレ編集室映画レビュー!〉
新垣結衣×早瀬憩W主演!
人見知りな小説家と人懐っこい高校生の奇妙で愛おしい共同生活を描く
『違国日記』6月7日(金)全国公開

©2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会

オーレ読者の皆様、こんにちは!
今回は映画好きスタッフがオススメしたい、最新イチオシ作品をご紹介します。
それが6月7日(金)全国公開、新垣結衣さん主演の『違国日記』!
累計販売数180万部を突破し、「心が救われる」「人生の本棚にはいった」など多くの共感を得ているヤマシタトモコさんのコミックが待望の映画化です!
今回も一足先に鑑賞してきましたが、穏やかでささやかに過ぎていく何気ない日常と、その裏に隠れた誰もが抱える密かな生きづらさを考えさせられるお話でした。
ということで今回も、作品の魅力や見どころをネタバレなしでご紹介していきますね!


原作:ヤマシタトモコ×主演:新垣結衣・早瀬憩
決して交わることのなかったふたりの、
ぎこちなくも愛おしい同居生活が始まる ───。




17年より雑誌「FEEL YOUNG」(祥伝社)で連載がスタートした、ヤマシタトモコの「違国日記」。
誰もが多かれ少なかれ感じている“ 生きづらさ”を優しくすくい上げ、「人生の本棚に入った」「心が救われる」と大きな反響を呼んだ傑作コミック。
その人気は瞬く間に広がり、現在累計発行部数は180万部を突破。
「マンガ大賞2019」第4位、宝島社「このマンガがすごい!2019」オンナ編第4位など多くの漫画賞を賑わせながら、23年6月に6年という長期連載の幕を閉じた。
連載終了後にも「このマンガがすごい!2024」オンナ編第5位、雑誌「ダ・ヴィンチ」の「BOOK OF THE YEAR 2023」コミック部門第1位を獲得する話題作が、豪華キャスト陣で待望の実写映画化!

人見知りな小説家の高代槙生(35)と、人懐っこい姪・田汲朝(15)の対照的な2人の同居譚。
主人公・高代槙生を演じるのは、いまや国民的俳優のひとりとなった新垣結衣。近作映画『正欲』(23)でもこれまでのイメージを軽やかに覆した新垣が、不愛想で人付き合いが苦手、でも心の中に人知れず激情を隠し持った槙生を凛々しく熱演し、さらなる新境地を開拓する。

もうひとりの主人公・田汲朝にはオーディションから選ばれた新星・早瀬憩。初めて見る“風変りな大人”=槙生に戸惑いながらも、持ち前の天真爛漫さで槙生の心を動かしていく朝を、早瀬が瑞々しく体現した。

他にも夏帆、瀬戸康史をはじめ、小宮山莉渚、染谷将太、銀粉蝶といった実力派キャストが揃った。監督と脚本は、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)など繊細な心情を描いてきた瀬田なつき。

年齢も性格も生きてきた環境も異なるふたりが、互いを理解できず葛藤しながらも、まっすぐに向き合い日々を重ねる。
それはいつしか家族とも友人とも異なる、かけがえのない関係へと変わっていく───。



「あなたを愛せるかどうかはわからない。
でもわたしは、決してあなたを踏みにじらない」
わかり合えなくても、寄り添えることを知った───



ある日、目の前で両親を交通事故で亡くしてしまった15歳の朝(早瀬憩)。
突然のことに涙さえ流れず、呆然としたまま葬式に参列する朝に、親戚たちの心ない言葉が突き刺さる。そんな時だった。

「あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは、決してあなたを踏みにじらない」

朝からまっすぐに目をそらさずに、そう言い放った女性・槙生(新垣結衣)。
朝の母親・実里(中村優子)と折り合いが悪く、姉妹でありながら全く交流のなかった槙生は、誰も引き取ろうとしない朝と同居することを、その時決めたのだった。
こうしてほぼ初対面のふたりの、同居生活がはじまった。


人見知りで、部屋の片付けが苦手で、不器用な少女小説家の槙生。
一方、専業主婦で綺麗好きの母と暮らし、人懐っこく素直な性格の朝。
何もかもが対照的な2人の生活は戸惑いの連続で、高校生になったばかりの朝のせわしない日常と、これまで自宅で黙々とひとりで仕事をしてきた槙生の生活時間はなかなかかみ合わない。
それでも夜中までPCに向かって執筆を続ける槙生の真剣な横顔に、朝は不思議な安らぎを覚えるのだった。

後日遺品整理のため、両親と暮らしていたマンションを槙生と共に訪れる朝。
まだ生々しい生活の残る室内の空気を変えるよう、あえてサバサバと整理を続けるふたりだったが、ふとしたことから口論に。かねてから実里への嫌悪感を隠そうとしない槙生に、朝の不満が爆発する。

「私は、お母さんのこと、好きになってほしい」
「あの人への気持ちは変わらないし、誰にも変えられない」


どこまでも平行線で分かり合えないふたり。だがそれでも毎日は過ぎていく。


槙生の長年の親友・醍醐(夏帆)は良き理解者。明るい性格で人との垣根を作らない醍醐に朝もすぐに心を許すように。また槙生には笠町(瀬戸康史)という、大切な存在も。かつては恋人同士だったふたりの間には今も親密な空気が流れており、まだ恋愛経験のない朝は大人の関係に興味津々。


朝もまた新しい高校生活で、多くの出会いを経験する。
様々な友人との出会いに刺激を受け、健やかに育っていく朝を、槙生はまぶしい想いで見守っていた。


だがある日、朝は槙生が隠しごとをしていることを知り、それまでの想いがあふれ出て衝突してしまう───。




他者との間に横たわる、わかりあえなさ。
「それを当たり前に認めて、超えていけばいい」
そんなふうに
私たちの背中を押してくれる作品!



さっそく観てきました〜!

35歳・少女小説家の高代槙生と、交通事故で両親を亡くした15歳・女子高生の朝。
2人の共同生活が淡々と穏やかに、でもある種の重さや深さを持って描いた作品です。

「違国日記」のタイトルにあるように、「同じ国」に住んで「同じ言葉」を話している血縁だとしても、時々まるで「違う国」の人と話しているように感じてしまう───。
家族、友人、恋人、仕事の人間関係など、性格も価値観も異なる人達と接する日々の中で、こういう感覚って少なからず私達も日常の中で感じる瞬間がありますよね。
誰かと接する中で感じる、わかりあえなさ。誰の心にも生まれる孤独感や虚無感。
そうしたものを根底にしながら、時間や人との関わりが繊細に描かれていてかなり共感できました。

槙生は大人だけど、人見知りで、部屋の片付けもできない女性。
でも自分の“孤独”や“感情”を「自分のもの」として大事にして暮らしています。

対する、まだ子供と大人の狭間にいる朝。家事も出来て、人なつっこくて、しっかりした女の子。
でも自分の価値観と相手の価値観はきっと同じはずだと疑わない純粋さがあります。
(自分の好きなものを槙生にも強要したり、友人の秘めた感情に気づかなかったり)
(でも朝の気持ちもわかります!思春期の頃って「なんでわかってくれないの!?」「なんで話してくれないの!?」の時期でもありましたよね…)

そんな2人が、戸惑いながらも心を寄せ合っていく姿が暮らしの中で映し出されているのですが、そこには私達が毎日を生きていくためのヒントがたくさん散りばめられています。

たとえば冒頭の予告映像にあるように、朝の「なんで嫌いなの?お母さんのこと」という率直な質問に槙生は真摯に答えます。

「あなたの感情も私の感情も自分だけのものだから。分かち合うことはできない。あなたと私は別の人間だから」

無理に気持ちを押しつけなくても、無理に全て理解しようとしなくてもいい。ただ、「人は分かり合えなくても、寄り添うことができる」という力強いメッセージですよね。

槙生と朝、不思議な縁で出会った、年の離れたふたり。
お互いの心に秘めた苦い記憶や、小さな喜びや、ささやかな幸福。
複雑な感情が織り込まれた彼女たちのふたり暮らしは、決してスマートでもなく、ドラマティックでもない、でも愛しい日々なのです。
こんな感じに受け入れてくれる人が欲しくなるし、自分も、自分自身や目の前の誰かを受け入れて生きていこうと思える作品ですよ!
一つ一つのシーンやセリフをじっくりと噛みしめたくなる作品でした!
きっと、多様性の現代を生きる私達にはより一層きっと刺さる映画なのではないでしょうか?
自信をもってお勧めしたい1本です!
6月7日(金)公開ですので、ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね!





『違国日記』
■公開日:6月7日(金)公開予定
■監督・脚本:瀬田なつき
■原作:ヤマシタトモコ (祥伝社 FEEL COMICS)
■配給:東京テアトル ショウゲート
■キャスト
新垣結衣 早瀬憩 夏帆 小宮山莉渚 中村優子 伊礼姫奈 滝澤エリカ 染谷将太 銀粉蝶 瀬戸康史
■上映時間:139分
■コピーライト:(C)2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会
映画公式 HP:https://ikoku-movie.com/



※掲載の記事は2024年05月23日時点の情報となり、掲載内容によっては終了している場合もございます。あらかじめご了承ください。